【OSC2026 Tokyo/Spring】外のコミュニティに出たら、成長速度が変わった話(イベントレポート)

はじめに
「エンジニアとして成長するために、何が必要なのか。」
2026年2月28日、オープンソースカンファレンス2026 Tokyo/Springにて、その問いに答えるセッションが行われました。登壇したのは、さいたまIT・WEB専門学校に在学中の学生エンジニア・桑島陽斗氏と、ファンブック株式会社代表取締役の伊藤真之氏。コミュニティへの参加が一人の学生をどのように変えたのか、45分間にわたってリアルな体験談とともに語られました。
イベント概要
イベント名: オープンソースカンファレンス2026 Tokyo/Spring
セッション名: 外のコミュニティに出たら、成長速度が変わった話
日時: 2026年2月28日(土)14:00〜14:45
レベル: 入門編
対象者: 自身のスキルアップや成長に関心ある方。または若手を育成したいマネージャー層。
主催担当: 特定非営利活動法人エルピーアイジャパン
URL: https://event.ospn.jp/osc2026-spring/session/2239228
登壇者プロフィール
桑島陽斗氏
さいたまIT・WEB専門学校 高度専門士情報技術科。プログラミングを始めたのは入学直前の約3年前。現在はAI活用をテーマとした企業でインターンとして実務に携わりながら、ITエンジニアのコミュニティ「LinuC Open Network(LiON)」のプロジェクトにも参加している。
伊藤真之氏
LinuC Open Network(LiON)のコミュニティマネージャを担当。
ファンブック株式会社代表取締役。ナラティブマーケティングの専門家。テクノロジー領域を中心に、事業の背景にある想いや文脈を整理し、人が語りたくなるナラティブとして社会につなぐ支援を行っている。宇宙ビジネスの実践コミュニティ ABLab の代表も務め、宇宙産業への参入支援や事業共創にも取り組んでいる。
コミュニティ参加前 ー 学校という「閉じた世界」
桑島氏がコミュニティと出会う前、学習の場は学校のみでした。在籍する学科は40名程度で、しかも一期生として入学したため上級生の先輩が一切いない環境。オンライン受講も選択できる分、同期との接点も限られ、コミュニティの幅は非常に狭かったといいます。
SNSで同世代の優秀な学生やエンジニアの存在は知っていたものの、実際に会ったことはなく「自分の立ち位置がまったくわからなかった」と桑島氏は振り返ります。さらに、学校で学ぶLinuxなどの知識が「実際にどこで使われるのか」という疑問も常に抱えていました。
転機 ー 先生に誘われた一つのイベント
状況が変わったのは2年生の5月。学校の先生に誘われ、LinuC Open Network(LiON)のイベントに参加したことが大きな転機となりました。
「最初は正直、不安でした。でも先生と一緒という条件でハードルが下がって、行ってみたら思っていたより全然大丈夫だった。社会人の方々も気さくに話しかけてくれて、また来たいと思えました」(桑島氏)
この体験によってイベント参加への心理的ハードルは大幅に低下しました。以降、オンラインイベントから徐々にオフラインにも一人で足を運ぶようになり、行動の幅は着実に広がっていきました。
コミュニティが生んだ具体的な変化
外部のコミュニティに出たことで、桑島氏には目に見える変化が次々と生まれました。
① 自分の立ち位置が分かった
SNSで見ていた同世代の優秀な学生やエンジニアと実際に顔を合わせ、今後の学習方針や自分が学んでいる内容の有用性を確認できるようになりました。
② アウトプットへの意識が高まった
イベントで他の参加者が名刺を持っているのを見て、「自分も何か紹介できるものが必要だ」と気づき、名刺やポートフォリオの作成を始めました。
③ インターンの機会を掴んだ
初参加から1年後、LinuC Open Network(LiON)の交流会で講師と会話したことがきっかけとなり、AI活用をテーマとした企業でのインターンへとつながりました。実務では、顧客向けのAI活用システム開発を担当。「自分でもお客様向けの仕事ができるようになり驚いています」と桑島氏は語っています。
現在取り組むプロジェクト:企業内ローカルLLM構築ガイドライン制作
セッションの後半では、桑島氏が現在参加しているLiONの「社会実装プロジェクト」が紹介されました。
多くの企業がクラウドLLM(ChatGPTなど)の活用を検討する中で、セキュリティ・コスト・カスタマイズという3つの壁が導入の障壁となっています。この課題を解決するのが「企業内ローカルLLM」ですが、ハードウェア、インフラ、モデル選定まで幅広い知識が必要で、対応できる人材やノウハウが不足しているのが現状です。
このプロジェクトでは、実践的なガイドラインと、クラウドLLMとの比較から実装支援まで行うAIガイドの2つを制作することを目指しています。リサーチ・開発・企画・推進の4役割に分かれてSlackで連携しながら進行中であり、桑島氏は学生ながら社会人エンジニアと対等に協働しています。
LinuC Open Network(LiON)とは
最後に、伊藤氏からLinuC Open Network(LiON)の紹介がされました。
LiONは、ITエンジニアの成長と活躍を後押しするアウトプット共創型のエンジニアコミュニティです。「勉強会を受けるだけ」ではなく、教える側への挑戦、情報発信、プロジェクト活動を通じた社会貢献を目指している点が特徴です。参加者はLinuxなどオープンテクノロジーを活用するIT技術者で、学生からベテランエンジニア、マネージャー層まで幅広い世代が集まっています。NPO法人LPI-Japanのサポートのもと、有志によって運営され、試験開発・教材作成・勉強会・社会実装プロジェクトなど多様な活動を展開しています。
Q&A:なぜ登壇まで踏み切れたのか
セッション後の質疑では、「アウトプットって普通はブログから始めると思うけど、いきなり登壇まで行ったのはなぜ?」という質問が寄せられました。
桑島氏からは、「Noteにブログは書いていました。でも登壇のきっかけは、『LiONで登壇の機会があるけどどう?』と声をかけてもらったことです。そのままお受けした感じです」と回答されました。
コミュニティを通じてつながった人が、次のチャンスをつないでくれる——桑島氏の歩みはその好例といえるでしょう。
おわりに:外に出ることが、成長の起点になる
伊藤氏はセッションの締めくくりとしてこう語りました。「成長に必要な経験・スキル・人脈・評価は、会社や学校で与えてもらえるものだけでは限りがある。外に出て自分から取りに行く必要がある。そういう活動を実際にやる人、やり続けている人は少ないから、続けるだけで差がつく」。
学生の桑島氏が体現したのは、まさにその言葉そのものです。コミュニティへの一歩が、インターン、プロジェクト参画、そして登壇という連鎖を生み出しました。
スキルアップや成長に関心のある方、あるいは若手育成を考えるマネージャーの方にとって、今回のセッションはきっと多くのヒントをもたらすものだったのではないでしょうか。
LinuC Open Network(LiON)の活動に興味を持った方は、ぜひコミュニティの情報をチェックしてみてください。外に出る最初の一歩は、思っているよりずっと小さくて、そして確実に何かを変えるはずです。
アーカイブ動画
セッションの内容を動画でもご覧いただけます。
※収録不調のため、途中で数分途切れている部分があります(23:22辺り)。


